綾辻行人『びっくり館の殺人』『最後の記憶』 ホラーだそうですが、ごめんなさい、あまりこわくなかった。(作者も言ってますけど) 母親の幼いころの記憶、痴呆症の遺伝の心配をする主人公、子どもをねらう切り裂き魔、「いなくなっちゃった」子ども、きつね面のふしぎな人物、幻覚か実体か分からない世界・・・(神隠し?) 最後に、すべての真相に到達する主人公。 そしてパラドックス? うーん。いろいろな要素がつまっているけれど・・・途中から、なんでそっちに行く?と思ってしまった。 主人公の追いつめられ方がものたりなかったかも。もっとどろどろしたものがほしかったりして・・・。 でも、「いなくなってしまいたい」と考える子どもって、多いのかな・・・自分の存在感を、実感できない子ども。また、他人の存在を認識できない子ども。さみしいな。(2004.1.29) 『暗黒館の殺人・上』 一日どっぷりひたってしまいました。上巻、読み終えました。 ずっとどろどろしていて陰気で、いかにもの雰囲気です。 メインである謎めいた洋館はもちろんですが、双子の姉妹やせむしの男、病気の子ども、墓守をする老人、絶対的な権力を握る当主、不意の闖入者、人魚の伝説などなど・・・あやしい雰囲気いっぱいです。 「記憶」「母親」がここでも大きなテーマになっているでしょうか・・。 まだまだ半分、下巻であっと言わせてくれるのを期待しています~。(2004.9.21) 『暗黒館の殺人・下』 この話の最初の方(上巻)で、読んでいてなんかちがうなぁ~と違和感を感じていたんですが、それも読んでいくうちに、館の世界にどっぷり浸かってしまって忘れていて、真相が明かされる段になって、ああっ、そうだったのか!とやっと思い出して整合性がついたという感じです。(変な文だ) ところどころに挿入されるあの字体はそれだったのね・・・私はまた、館自体の意識なのかと思ったときもあったくらいで。 言ってみれば、「○○○○」というナンセンスな言葉で表現されてしまいそうですが、そうなっていないところが「館」の魔力でしょうか。 ホラーも少し入ってました。う~ん、あの中にいるモノ、知りたい~。 それにしても、鹿谷門実(この名前、何とかして)が現れたら、がらりと雰囲気が明るくなって、ホッとした・・・・。 登場人物にはあまり感情移入しなかったのは、かけ離れた世界だったからですね。(2004.9.24) |